――道上の家
計画地は奥様のご実家に程近く、閑静な住宅街にある。
その中で若い夫婦と小さいお子さまが、外を身近に感じ庭先で穏やかに暮らす。そのような暮らし方がこの地には合っていると感じた。
ご主人は夜勤があり家族と生活リズムが異なるので、
「リビングを介さずに一通りの生活ができること。」
という一つのテーマに向き合い、そこにストレスを感じさせない暮らしを設計で叶えたいと思い、計画した。
玄関を開けると廊下が左右に分かれ、左はリビングへ直結し、右は洗面脱衣・トイレ・ファミリークローゼット等のサーバントスペースへ。
ただエリアを切り分けるだけでは、孤立して使いづらい間取りになってしまう。
その為、各スペースの寸法を細かく見直しし、動線や通路を創出し、それらを回遊的につなげることで生活のしやすさを向上させた。
リビングは東に向いて大きく開放し、長く延びた軒が夏は猛烈な日差しを遮り、冬はあたたかな陽だまりを招き入れる。
窓際のソファがこの家の気持ちよさを最も感じられる位置になるよう設計した。
開口部を出ると濡れ縁を意識したウッドデッキが庭とをつなぎ、室内ではない場所に家族の新しい居場所を生み出している。
お子さまの勉強と奥様のお仕事ができるスペースをキッチン裏に配置した。
目の行き届くすぐ傍らにありながら集中できる空間としたかった為、入口の高さを下げて視覚的にも別空間となるよう心掛けた。
また書庫の機能も備えており、ネットの引込みやゲーム機、レコーダーや漫画等、煩雑しやすいものを集約できるようにした。
洗面室は家事動線が最短となるようにキッチンと通路を挟んだ隣接の関係にある。
窓際のやわらかな外光が入る位置に木製カウンターを設え、気持ちが明るくなるようにした。
また、ガレージにつながるテラスドアを配備し、外部と洗面室が直接出入りできることで洗濯物を干す前後や外で遊んだ後など快適な通路とした。
寝室の配置は、夜勤のご主人が日中でも快眠できるよう北側とし、窓も最小限の大きさに留め、採光の量をあえて低く調整した。
独立洗面や階段手摺、木製玄関・建具など自然素材を使用し、どこにいても職人の技が感じられる住まいとなっている。
住宅街の中にありながらも計画地はゆとりのある敷地条件であったので、一階は地にしっかりと張りついたような水平が強調されるようなファサードとした。
ガレージは位置的に外観の表面となるので、車を停めるだけの空間という機能要素のみになるのを避け、また外壁の左官壁との相性も考慮し板張りとすることでやわらかな自然の印象を強めた。
周囲の住宅は築年数や建てられた時期など様々で異なっているが、「道上の家」はどれだけ時が経っても「時代」を感じる家にはならず、それを感じさせない普遍的な魅力を備えているように思う。
















